
二年ぶりに道北の川に釣りに行く約束をした。
昔はよく通いつめた場所だが、今はあまり訪れることは無くなってしまった。
投げては引き、投げては引きのこの釣りには忍耐強さが必要で、おまけに強風や寒さも加わり私はこの修行のような釣から逃れていた。
現在は、変化に富んだ流れにスペイラインを乗せフライをスゥイングさせる釣り方が好きで、どうせなら結果は出なくとももう一つの道北の太く重たい大河で幻を追うほうが自分の好きな釣り方となっている。
約束をしたのは本ブログにも度々登場した道東の還暦を過ぎた釣りの友人である。一回り以上先輩である。
お決まりのカッターナイフで作ったツーハンドの竹竿を大漁旗で作られた竿袋から引き抜き、私の現地到着を迎えてくれた。彼はこの川に滞在し4日目で既に2ダースほど釣っていたが、サイズ、釣った数に少々不満のようだった。

二年ぶりのこの川は当時とあまり変わりは無いように思えた。彼は4日間の状況・情報をもとに雨降りで寒い中、私を釣れそうな場所に案内してくれた。
自分は釣れるに超したことはないが、釣果より釣りをしながらの馬鹿話、冗談話をしながら彼と一緒に釣りをすることが何より楽しいのである。もちろん彼のキャスティング、釣果は容姿とは全く違い誰もが認める素晴らしいものである。

「此処は○○のフライがいいよ。」「こうしてああやってこうしないと釣れないよ!」と聞きもしないのに自慢げに話す釣り人がいるが、彼は決して断定した押し付けトークをする友人ではない。
彼にそのような専門的な単語など知らないしまた不要で、動物的直感(鼻が利く)が働いているのだと思う。万が一、彼にどのように釣ったのかを尋ねても、「黒っぽくでモジャモジャしたフライで底を流せば釣れるんでね~かぁ~っ!」「投げてないと釣れねーべ!ワッハッハッ!」とこんな感じの返答である。
「どんなフライを使ってるのですか?」「ラインは何ですか?」と聞いて来る釣り人がいるが大変もったいないと思う。もちろん聞かれればお答えはしますが・・・・
難しい試験問題で、中々回答出来ずお手上げで答えを先に教えてもらうようなもので、そこまでのプロセスを楽しめることもないため、本来のフライフィッシングの楽しみを半減してしまっているように思える。また魚釣りという自然相手にあっさりギブアップしたかのようにも思える。
但し所詮魚釣り、釣ってなんぼという考え方も当然有りでしょうし否定はしません。
人間が持つ狩猟本能を根幹とし、スポーツとして発展してきたフライフィッシング。言葉には出さないが周りの誰よりも数多く大きな魚を釣ってやろうと誰もが思っていると思う。
自分だけが釣れない時に「フライは何?、ラインは何?」とギブアップしたり大人気無く不機嫌になってはいないだろうか。釣れた仲間に自分事のように一緒に喜んであげられる余裕はあるだろうか。
また自分だけが釣れる時に「そのフライは釣れないよ!」「もっとこうやらないと釣れないよ!」と高飛車になることはないだろうか。謙虚で控えめでいなければならない。
こんな状況の中、いかに紳士でいられるかがこのフライフィッシングのマナーとも言えるのではないだろうか。

二年ぶりのこの川の魚達とは、渋々ながらも再会することが出来た。
釣果より人として一緒に楽しく釣りを楽しめる友人と過ごすことがもう一つの目的である。
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